理事長ご挨拶

このたび、一般社団法人日本乳腺甲状腺超音波医学会(JABTS)の理事長を拝命いたしました。歴史ある本学会の重責を担うこととなり、身の引き締まる思いです。
本学会は、乳癌および甲状腺疾患、リンパ節などの体表臓器に対する超音波診断の発展と普及、そして会員相互の研鑽を目的として活動してまいりました。近年、乳癌や甲状腺疾患の早期発見・治療の重要性がますます高まる中、超音波技術の進歩とともに診断・治療の現場における超音波の重要性は増すばかりです。
学会の使命として研究力の向上、並びに若手の育成が重要な課題と考えております。研究部会活動が盛んであることが本学会の特徴でしたが、近年は若手の育成にも注力しており、様々な講習会、ハンズオンセミナー、資格制度が走っております。
乳腺の領域ではJ-STARTの結果を受けて、超音波による乳癌検診が、益々普及し、乳腺超音波に精通した技師、医師の需要が高まっております。2024年より開始した初学者の技師・医師向けの乳房超音波スタートアップ講習会には多数の応募をいただき、応募しようと思ったら、もう満席だったというお声もあり、皆様の関心度の高さを実感いたします。非腫瘤性病変の講義の要望も多数いただいたため、これを含めた講習も準備中であります。また2022年度から日本乳癌学会と共催で開催しております乳房超音波基礎・針生検講習会も毎年100人前後の若手を中心とする医師に参加いただいています。
甲状腺領域では2020年から甲状腺超音波ガイド下穿刺診断専門医、甲状腺超音波ガイド下穿刺コーディネーター資格制度が始まり、安全で正確な穿刺技術の普及に努めてまいりました。2024年度時点で、専門医資格取得者84名、コーディネーター資格取得者15名と順調に資格の認知度も上昇しております。
2025年には新しい乳癌取扱い規約第19版やBIRADS第6版が出版される予定となっています。JABTS乳腺用語診断基準委員会作成している乳房超音波診断ガイドラインも、改訂に対応して来年には増補版を、その先には第5版も出版予定でおります。 甲状腺用語診断基準委員会が作成している甲状腺超音波診断ガイドラインも第4版への改定作業が進んでおります。
現在、日本ではインフレが進んでおりますが、JABTSとしましては、活動の質も量も保ちつつ、雑誌の電子化、zoomによる会議の活用、マイページの活用による会費納入など経費削減に努め健全な運営を務めております。
社会からの期待に応え、患者さんにより良い医療を届けるため、乳腺,甲状腺,体表領域の医師,検査技師,理工学系や技術系ほかすべての会員の皆様とともに歩んでいきたいと考えております。ご指導とご協力を賜りますようお願い申し上げますとともに、本学会が乳癌・甲状腺疾患診療の発展に一層貢献できるよう、全力を尽くす所存です。
日本乳腺甲状腺超音波医学会理事長
東京女子医科大学 外科学講座 乳腺外科学分野
明石 定子